食品の栄養管理

食品の種類・検索

食品の名前で検索できます。検索できない時はひらがなで入力してみてください

注目の微量栄養素

主な栄養成分

エネルギー
 エネルギーとは、体を動かすための活動源であり、いわゆる「カロリー」です。蛋白質・脂質・炭水化物は、それぞれ体の中で1gあたり、たんぱく質4kcal、脂質9kcal、炭水化物4kcalのエネルギーになるといわれています。
 カロリー・コントロールで大切なのは、絶対量を適量とすると同時に、バランスを考えることです。たんぱく質15%、脂質25%、糖質60%程度のエネルギーバランスで摂取するのが、理想的だといわれています。
蛋白質
 蛋白質は、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であり、酵素など生成にも欠かせません。また、エネルギー源としても使われることもあります。
 ダイエットをされる方には「蛋白質は基礎代謝を上げてくれるし、筋肉になるから大丈夫」と思っている方がいますが、糖質・脂質が欠乏すれば蛋白質もエネルギー源として使われます。また分解のためにカルシウムなどのミネラルを消費することもあるので、適量を心がけることが大切です。
脂質
 脂質は三大栄養素のうち最も高いエネルギーになり、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)の吸収に役立つ他、体内で合成できない必須脂肪酸は生きるために必要不可欠です。しかし、過剰な脂質の摂取は、肥満、生活習慣病、いわゆる「メタボリック・シンドローム」の原因になります。
 脂質で重要なのは、絶対量のコントロールと同時に、その主要成分である脂質の種類を知ることです。
 脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の三つに大きく分類でき、それぞれ体の中での生理作用が異なります。
 飽和脂肪酸は、肉や乳製品をはじめとした動物性食品などに多く含まれている脂肪酸です。とり過ぎると、悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化をまねく原因のひとつになります。
 一価不飽和脂肪酸は、オリーブ油に多く含まれるオレイン酸に代表され、酸化されにくく、動脈硬化や心疾患をまねきにくい油として知られています。
 多価不飽和脂肪酸は、植物油や魚に多く含まれ、体の中で合成できないため食べ物からとらなければならない必須脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸はさらにn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)とn-6系多価不飽和脂肪酸(オメガ6)に分類できます。
 n-6系多価不飽和脂肪酸のリノール酸はサフラワー油、大豆油、コーン油などに多く、n-3系多価不飽和脂肪酸はしそ油、えごま油などに多く含まれます。どちらも身体に欠かすことができませんが、現代人の生活では特にn-3系多価不飽和脂肪酸が相対的に不足している、と言われています。
 脂肪酸バランスの崩れがアレルギーや精神症状の一因になっている、という説もあります。
種類脂肪酸名含有食品特徴
n-3系多価不飽和脂肪酸α-リノレン酸亜麻、しそ動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、高脂血症などの予防・改善/癌の発生・増殖の抑制/リノール酸の作用を抑制/アレルギー症状の改善/ボケ防止や精神症状の改善



エイコサペンタエン酸(epa)さば、いわし、さんま血液擬固の減少/動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、高脂血症などの予防・改善/アレルギー症状や炎症性疾患の症状改善
ドコサヘキサエン酸(dha)かつお、まぐろ脳に多く含有/腱脳効果/動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、免疫性疾患などの予防・改善
n-6系多価不飽和脂肪酸リノール酸コーン、ベニバナ、大豆血中コレステロール値低下/過剰摂取でhdlまで抑制、アレルギー症状が発症しやすくなる
γ-リノレン酸
アラキドン酸レバー、卵高血圧、動脈硬化、心不全、胃潰瘍、月経困難症、アレルギー性疾患などの予防・改善にも有効だが、とりすぎると逆効果
n-9系一価不飽和脂肪酸オレイン酸オリーブ、菜種、アーモンド、ピーナッツ、アボカド心臓病、がんの発病性低下、血漿コレステルール値低下、胃酸分泌の調整




飽和脂肪酸ラウリン酸ヤシ、ココナッツコレステロール値を上げる、体内で分解されにくく蓄積する(肥満)、過剰摂取は動脈硬化になりやすい
ミリスチン酸
パルミチン酸牛肉、ヤシ、バター、ラード
ステアリン酸羊肉、牛肉、バター
炭水化物、糖質
 炭水化物と糖質はしばしば混同されていますが、炭水化物は、糖質と食物繊維の合計です。
 脳は血液中の糖質(ブドウ糖)しかエネルギー源にできず、余分に食べた糖質は体の中で脂肪となって蓄積されるため、一度に大量に摂るのではなく一定時間ごとに摂取する必要があります。
食物繊維
 食物繊維とは、人の消化酵素では消化することのできない食べ物の成分です。便秘を防ぐほか、生活習慣病の予防に役立つこともわかってきています。水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維があります。
不溶性食物繊維セルロース穀類,野菜
ヘミセルロースふすま・緑豆
リグニンココア・野菜
寒天紅藻類
キチンかに・エビ
コラーゲン畜類・フカヒレ
水溶性食物繊維ペクチン果物・野菜
グアガムグア豆
グルコマンナンこんにゃく
アルギン酸ナトリウム褐藻類
マルチトール甘味料
灰分
 灰分とは小麦に含まれるミネラル(リン・カリウムなど)の合計量のことです。小麦の中心は灰分が少なく、中心から離れた皮部ほど多くなります。灰分量が多くなるほど小麦粉の色相が悪くなるため、「等級」は下がるのですが、近年ではむしろ灰分の栄養価が注目されることもあります。
コレステロール
 コレステロールは脂質の一種で、細胞膜や性ホルモンの材料になりますが、とり過ぎると生活習慣病を一因となることがあります。
 コレステロールにはHDLコレステロール(善玉コレステロール)とLDLコレステロール(悪玉コレステロール)があり、HDLコレステロールが血管の余分なコレステロールを肝臓に運び動脈硬化を予防する一方、LDLコレステロールは肝臓から血管や組織にコレステロールを運ぶ働きをしています。
カルシウム
 カルシウムは骨や歯などをつくっている栄養素として知られていますが、神経の働きや筋肉運動でも重要な役割を果たしています。牛乳、小魚、海草、大豆、緑黄色野菜などに多く含まれています。
カリウム
 カリウムは、細胞の外液でナトリウムとバランスをとることで、血圧を調整などに役立っています。カリウムには血圧を下げる働きがあります。果実類、ほうれん草などの野菜類に多く含まれています。
リン
 リンはカルシウムなどと共に骨や歯を作る材料になりますが、カルシウムに対してリンを過剰に摂取すると、骨量や骨密度が減る可能性があるといわれています。現代の食生活では一般に不足することはなく、むしろとり過ぎが問題です。
 鉄は赤血球を作るヘモグロビンの材料となり、呼吸でとり込んだ酸素と結びついて身体全体に運ぶ重要な働きをしています。魚、貝、大豆、緑黄色野菜、海草などに多く含まれます。
ナトリウム
 ナトリウムは、体内の水分量調節や、神経や筋肉を正常に動かすために必要な栄養素です。しかし現代の食生活ではむしろ摂り過ぎが問題になっています。
 食品等にある「食塩相当量」という表記は、含まれるナトリウムを食塩量に換算した値です。食塩はナトリウムと塩素の化合物のため、次の計算式により食塩相当量を求めることができます。
 食塩相当量 = ナトリウム × 2.54
ビタミンA
 ビタミンAは、発育を促進したり、肌の健康維持、粘膜の維持・保護など、多くの役割を持っています。狭義のビタミンAであるレチノールは動物にしか含まれませんが、植物に含まれるβカロテンなどのカロテノイドは体内でレチノールに変換されるため、この量を「レチノール当量」として表記している場合があります。
 レチノール当量は次の計算式で求められます。
 レチノール当量 = レチノール + βカロテン当量 × 1/12
ビタミンE
 ビタミンEは抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがあり、老化や血中LDLコレステロールの酸化による動脈硬化などを予防すると言われています。アーモンドなどのナッツ類や、植物油、魚介類に多く含まれています。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生や皮膚・粘膜の維持を助ける働きをします。胚芽、豚肉、レバー、豆類などに多く含まれます。
ビタミンB2
 ビタミンB2は、皮膚・粘膜の維持や糖質・脂質・蛋白質のエネルギー変換で重要な働きをしています。レバー、卵、大豆、乳製品、葉菜類などに多く含まれています。
ナイアシン
 ナイアシンは水溶性ビタミンの一つで、糖質・脂質・蛋白質からエネルギーを産生する際に酵素を補助する働きをします。ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称ですが、トリプトファンというアミノ酸から体内で合成することもできるため、以下の計算式によるナイアシン当量が基準として用いられる場合もあります。
 ナイアシン当量 = ニコチン酸 + ニコチンアミド + トリプトファン量 × 1/60